2022年12月に会社を設立し、SOYSCREAM!!!というアイスクリームブランドを立ち上げて2年が過ぎた。諸々の設備の準備に時間と資金を要し、なんとか昨年末からECサイトや卸販売も動き始めた。寒い冬を越え、春を迎え、ようやく初めてのハイシーズンに突入。いよいよアイスが一番求められる季節の到来だ。
今日は、SOYSCREAMの豆乳づくりで毎回出てくる“おから”の話をしたい。
これまで僕たちは、それを活用しきれず、「使い道のない廃棄物」として扱っていた。でも実のところ、ずっと心のどこかで引っかかっていた。「こんなに栄養のあるものを、ただ捨てていいのだろうか?」って。
そこで開発したのが、今店頭やキッチンカーなどでのイベント時に提供している手焼きのワッフルコーン。おからと米粉を合わせたグルテンフリーのコーンは、ありがたいことに評価も高く、今ではSOYSCREAM!!!の人気を縁の下で支えてくれる存在になっている。それをカタチにしたのはCBO(ブランディング責任者)の木綿ちゃん。彼女の偉業のひとつだと思う。アイスのフレーバー開発も本当に天才的だ。
とはいえ、コーンに使うといっても、毎週5〜10kgの大豆を搾って出てくる“おから”の量はとてもじゃないけど使いきれない。そこで堆肥化して畑に戻せないかと、何度も試行錯誤してきた。
たとえば、野積みにしてあった草堆肥におからを混ぜて発酵させてみたり。でも、その過程で出る匂いがどうしても好きになれなくて断念。次は、おからの水分を米ぬかで調整して土嚢に入れ、切り返しを簡易にした好気性発酵にも挑戦した。でも、日々の撹拌や温度管理に手が回らず、うまくいかなかった。安定感のあるぼかしづくりは、やっぱり一筋縄ではいかない。
そんな中、たどり着いたのが「嫌気性発酵」だった。
おからに米ぬかを混ぜて水分調整をし、ビニール袋に入れて軽く足で踏んで空気を抜き、そのまま密閉してじっくり発酵させていく。初めての挑戦だったので、最初は正直半信半疑。でも、発酵が進んでくると、最初はお酒のような香りがしてきて、やがてヨーグルトのような乳酸発酵特有の甘酸っぱい香りに変わっていく。
冬場は3ヶ月、この時期(夏場)は1〜2ヶ月熟成させて、晴れた日に2〜3日ほど天日干しすると発酵が止まる。そして乾燥後には、まるで梅酢のような独特の香りがふんわりと立ち上がる。これがなんとも言えずいい香り。鼻を近づけるたびに、発酵の進み具合や仕上がりの状態が香りでわかるようになってきたのも、最近の楽しみのひとつになっている。
このぼかしの良さは、撹拌の手間がいらず、分解もゆるやかで、栄養分が減りにくいところ。追肥してからの即効性も感じるし、じんわりと長く効く持続力もある。除草や間引きのタイミングで追肥したり、雨が降る前日にパラッとひとつまみまくと、翌日には目に見えるような変化があって「おっ」となることも多い。
そして何より、このぼかしが僕の畑とすごく相性が良かったのが一番の驚き。無肥料でやってきたからこそ、余計な刺激がなく、草や虫、微生物たちのリズムを壊さずに溶け込んでいく感じ。栄養というより“やさしい刺激”として働いているような気がしている。僕にとって、それはとても安心できる手応えだった。
SOYSCREAMの豆乳を搾ったあとに残るおからが、畑に戻って、また作物の栄養になる──そんな循環が、静かにでも確かに、この営みの中で回り始めている。
「おから問題」は、僕にとってずっと小さな悩みだった。環境にやさしい営みを目指していても、どうしても出てしまう廃棄物。でも、今ではそれが“ありがたい副産物”に姿を変えて、他の作物たちの養分になってくれている。このことに、なんとも言えない誇らしさと、素直な嬉しさが込み上げてくる。
強力なアイテムをひとつ手に入れたような、そんな気分。ちょっと大げさかもしれないけど、新米農家としてのレベルをほんの少し押し上げてもらえたような気がしている。
大豆栽培とアイスクリームという僕たちの柱となる営み。その一部だった“おから”が、こうしてまた畑に還っていく。ぐるぐるとめぐる、やさしい循環。
この自家製おからぼかし肥料のドラマは、きっとまだ始まったばかり。これからもいろんな形で、土壌の再生とSOYSCREAM!!!の物語をつないでいきたい。
今日も畑では、お野菜と微生物たちの静かな営みが広がっている。


